【空飛ぶスリーフライ！？】アンチグラビティ（Ante Gravity - Floating 3 Fly Chip Routine by Matthew Wright）～シアトリカルなクロースアップの傑作！～ [monthly Magic Lesson Shoppers]

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ポーカーチップが目の前で空中浮遊し、手から手に飛び移る！

エフェクト派マジシャン垂涎の「理論的に奇抜」な現象展開！

The Hold'Em Chip（ザ・ホールデム・チップ）、 Straight Thru - Sharpie Thru Chip（ストレート・スルー - シャーピー・スルー・チップ）
とシリーズを為す「ポーカー・プロ・チップス」のシリーズ第３弾です。

スリーフライに驚愕のクライマックス！
スリーフライ（フィンガーチップコインズアクロス）の手順の最後に、
ポーカーチップが目の前で空中を浮揚しながら手から手へと移動します。
ビジュアルで意表を突く効果です。

スリーフライが抱える問題点・課題の１つは「最後のコイン」問題です。
2008年に、マシュー・ライトはマジックサークルのクロースアップマジシャンオブザイヤーを勝ち取りましたが、
それに寄与したのが、この問題に彼なりの解決を試みたこのアイデアです。

マジシャンはよく、目にもとまらないほどの素早い移動現象のことを「飛行」現象と表記することがあります。
ポケットに飛行する、といった表現はマジックの世界では伝統的で歴史的な言い方なので
私も時々使ってしまいますが、初見の人は空中を飛ぶのかと誤解するかもしれません。
ですが、マシューのバージョンでは、最後の１枚は本当に手から手に「飛行する」のです！

2012年に彼は "Final Destination" の名でこの作品をマジック界に売り出しましたが、
そのときの価格は500ドル（55,000円）以上していました。
以降改良を重ね、ポーカーチップバージョンにして、コストを大幅に下げることに成功しました。

10年以上をかけて仕上げた出来栄え。
実際にカジノで使われていてもおかしくないデザインのリアルなポーカーチップで作られています。
リセットの問題、糸が絡まる問題などもなくして、基本的な技法の理解さえあれば演じられるようにしました。
演技後はポケットないしパース（小銭入れ）にしまって終了でき、次の機会にそのまま使える見事なシステムです。

「見えない糸（インビジブルスレッド）」を使用するマジックですから、それなりに演技場所や観客との距離などに
多少の制約があるマジックです。
ですが、予想外に演じやすい形のトリックに仕上がっている点が感心ポイントです。

クロースアップショーなどのシアトリカル・スタイルで、
ある程度準備が必要でも、普通にはなかなかお目にかかれないようなマジックを演じたい方にお勧めします。