mML第117号

【修得の難易度】★〜★★構造美を持った傑作『マリッジ・ブローカーズ』を学び、カードと紙幣のリアルな復活現象を研究する!

 今月号では、「構造美を持った傑作『マリッジ・ブローカーズ』を学び、カードと紙幣のリアルな復活現象を研究する!」と題しまして、計6手順をご紹介いたします。

 今回の特集のひとつは「復活現象」です。カードの復活2手順と紙幣の復活1手順を、それぞれご紹介しております。  「トーン&リストアド・カード」と題された手順は、フリーチョイスで選ばれたカードを単体で扱い、目の前で破いてみせた数片をそのまま手の中で復活させる、というテーマです。「間違いなく破いた」という信憑性の高さと、復活現象そのもののクリーンさを両立させた、極めて説得力のあるハンドリングです。また、この作品のさらに原点となるトリックと言える「アルティミット・リップオフ」も、今回併せて解説しております。革命的なコンセプトを持った歴史的名作で、今なお実用的な傑作です。  一方、紙幣の復活の古典名作「リップ・イット」は、何の準備も要らず、普通の紙幣が1枚あれば演じられる即興の魔法です。こちらも極めてリアリティの高い復活現象となっております。日本の紙幣で演じられるようにハンドリングをアレンジしておりますので、是非ご活用ください。

 もうひとつの目玉は「マリッジ・ブローカーズ」でしょう。キングとクイーンが同じマークでペアになるというテーマは他にもありますが、この作品は一致現象と言うよりは、明確にばらばらであることを示した2枚が魔法の力でペアになっていく「変化現象」であり、「ワイルドカード」にも通ずる趣を持っています。観客が参加して作ったランダムな組み合わせからスタートしているため、マジシャンですら困惑させられてしまいます。エンドクリーンの構造美を持った手順で、なおかつ演出的にも面白く仕上げられています。  そのほか、意表をつく展開を持つパケットトリック「フラタリング・ハーツ」、不確定情報があるにもかかわらず数理的原理が成立する不思議なカード当て「ノンテレフォン・テレフォントリック」も収録しております。

 トークレクチャーのコーナーでは、今回のテーマである復活現象に関連して、その前提となる演出上の問題点と、その具体的な対応策について語っております。

特集:デックを使ってパケットトリック!?

マリッジ・ブローカーズ(Roy Walton/William Zavis)
4 枚のキングを抜き出してテーブルに置きます。 マジシャンがデックから1 枚ずつクイーンを裏向きに出しては、その上に観客が自由に選んだキングを重ねていきます。 各ペアを見ますが、どれもマークは一致していません。ところが2 枚のジョーカーで挟んでおまじないをかけると、マークが一致するように次々と変化していき、最終的に4組ともマークが揃ったキングとクイーンのペアになってしまいます!
フラタリング・ハーツ(Phil Goldstein/ゆうきとも
青裏のデックから4 枚のエースを抜き出して、裏表をよくあらためます。 おまじないをかけるごとに、裏の色が、1 枚ずつ赤に変わっていきます! マジシャンは、じつは余分なカードを使っていたと説明し、確認してみると、枚数が5 枚に増えていますが、全て赤裏です。 しかも表を見ると、ロイヤルフラッシュのカードに変化しているのです!
ノンテレフォン・テレフォントリック(Nick Conticello/ゆうきとも
デックを4つの山に分けてもらい、1つを選んで持ってもらいます。 その中から自由に1枚のカードを選んでから、中に混ぜてもらいます。 そして、「花占い」のように「好き・嫌い…」とカードを1枚ずつ減らして絞っていくと、最後に残った1枚が見事、観客のカードなのです!

特集:破いても再生する魔法!

トーン&リストアド・カード(J.C. Wagner)
1 枚のカードを自由に選んでもらい、演者と観客のサインを書き込みます。 そのカードを、目の前でゆっくりと4 片に破り分けてしまいます。 ところが、1 片を観客に渡し、残りの3片をマジシャンの手の中で揉み合わせると、破片は見事に繋がってしまいます! 観客の片を合わせてみますが、破れ目はピタリと一致しています。
アルティメット・リップオフ(Paul Harris/Tommy Wonder)
上記作品の原案となる作品です。
リップ・イット(Jack Chanin)
マジシャンは、「紙幣の紙は強いので、四つ折りにすれば、そう簡単には破れない」という話をしているうちに、うっかり破ってしまいます! 紙幣に穴が開いてしまったことを確かに示した後、マジシャンは、一瞬で元通りに復元させてみせます!

特集:トークレクチャー

復活現象の前提となる演出について

この号で収録されている技法・用語

Roy Walton、Phil Goldstein、Nick Conticello、J.C. Wagner、Jack Chanin、Paul Harris、Tommy Wonder エッジグリップ


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Last-modified: 2015-04-29 (水) 18:43:52 (3279d)