*mML第118号 [#t0ceb678]

#contents

【修得の難易度】★〜★★構造美を持った傑作『マリッジ・ブローカーズ』を学び、カードと紙幣のリアルな復活現象を研究する!
【修得の難易度】★☆〜★★☆カジュアルスタイルのコインマジック「スリーフライ」とポール・カリーの天才的発想の名作を学ぶ!

 今月号では、「構造美を持った傑作『マリッジ・ブローカーズ』を学び、カードと紙幣のリアルな復活現象を研究する!」と題しまして、計6手順をご紹介いたします。
 今月号では、「カジュアルスタイルのコインマジック『スリーフライ』とポール・カリーの天才的発想の名作を学ぶ!」と題しまして、計6手順をご紹介いたします。

 今回の特集のひとつは「復活現象」です。カードの復活2手順と紙幣の復活1手順を、それぞれご紹介しております。
 「トーン&リストアド・カード」と題された手順は、フリーチョイスで選ばれたカードを単体で扱い、目の前で破いてみせた数片をそのまま手の中で復活させる、というテーマです。「間違いなく破いた」という信憑性の高さと、復活現象そのもののクリーンさを両立させた、極めて説得力のあるハンドリングです。また、この作品のさらに原点となるトリックと言える「アルティミット・リップオフ」も、今回併せて解説しております。革命的なコンセプトを持った歴史的名作で、今なお実用的な傑作です。
 一方、紙幣の復活の古典名作「リップ・イット」は、何の準備も要らず、普通の紙幣が1枚あれば演じられる即興の魔法です。こちらも極めてリアリティの高い復活現象となっております。日本の紙幣で演じられるようにハンドリングをアレンジしておりますので、是非ご活用ください。
 「スリーフライ」は、20世紀の末期に誕生した、コインマジックでは比較的新しいテーマです。伝統的なコインズアクロスを、現代的なパフォーマンススタイルに合わせてスタンディングでカジュアルに行おうというもので、指先にコインが見えているままで現象が起こる点が大変にビジュアルです。スピーディーで小気味よい21世紀型コインマジックを、ぜひお楽しみください。今回は、同じコインズアクロスのプロットである「ウィングド・シルバー」と組み合わせ、互いに補完しあって効果を高めるように構成しております。

 もうひとつの目玉は「マリッジ・ブローカーズ」でしょう。キングとクイーンが同じマークでペアになるというテーマは他にもありますが、この作品は一致現象と言うよりは、明確にばらばらであることを示した2枚が魔法の力でペアになっていく「変化現象」であり、「ワイルドカード」にも通ずる趣を持っています。観客が参加して作ったランダムな組み合わせからスタートしているため、マジシャンですら困惑させられてしまいます。エンドクリーンの構造美を持った手順で、なおかつ演出的にも面白く仕上げられています。
 そのほか、意表をつく展開を持つパケットトリック「フラタリング・ハーツ」、不確定情報があるにもかかわらず数理的原理が成立する不思議なカード当て「ノンテレフォン・テレフォントリック」も収録しております。
 「パンプルーム・ファンタジー」はカードマジックの歴史的な名作です。両手でシャーリエ(ワンハンド)カットを同時に行うなどテクニカルな内容を含んでいますが、それだけにマジシャンの技量を観客に強く印象付けられるマジックにもなっています。チャレンジし甲斐のある、クラシカルな風格を持つ堂々たる手順です。

 トークレクチャーのコーナーでは、今回のテーマである復活現象に関連して、その前提となる演出上の問題点と、その具体的な対応策について語っております。
 さらに今回は、観客の選択や意思をあたかもマジシャンが思いのままにコントロールできてしまうかのように見える作品を4作品取り上げております。まさに天才の発想といえる「ア・スインドル・オブ・ソーツ」をはじめ、ディープなメンタルマジックとしても、またカジュアルにも演じることができる傑作揃いの内容ですので、ぜひ存分にご活用くださいませ。

***特集:デックを使ってパケットトリック!? [#j843e21c]
 トークレクチャーのコーナーでは、今回の収録内容にちなみ、同一のテーマで方法論が異なるマジックをつなげて演じることの利点と問題点を分析し、ご説明しております。こちらも参考になさってください。

:[[マリッジ・ブローカーズ]]([[Roy Walton]]/[[William Zavis]])|4 枚のキングを抜き出してテーブルに置きます。
マジシャンがデックから1 枚ずつクイーンを裏向きに出しては、その上に観客が自由に選んだキングを重ねていきます。
各ペアを見ますが、どれもマークは一致していません。ところが2 枚のジョーカーで挟んでおまじないをかけると、マークが一致するように次々と変化していき、最終的に4組ともマークが揃ったキングとクイーンのペアになってしまいます!
***特集:古き良き名作が、いま甦る!  [#j843e21c]

:[[フラタリング・ハーツ]]([[Phil Goldstein]]/[[ゆうきとも]])|青裏のデックから4 枚のエースを抜き出して、裏表をよくあらためます。
おまじないをかけるごとに、裏の色が、1 枚ずつ赤に変わっていきます!
マジシャンは、じつは余分なカードを使っていたと説明し、確認してみると、枚数が5 枚に増えていますが、全て赤裏です。
しかも表を見ると、ロイヤルフラッシュのカードに変化しているのです!
:[[パンプルーム・ファンタジー]]([[Bert Allerton]])|デックのトップとボトムに置いた赤いエースを、1 枚ずつデックの中ほどに入れますが、なぜかトップとボトムに戻ってきます。
これを繰り返した後、3 度目には意外にも黒いエースが現れ、さらに黒いエースでも同じ現象が繰り返されます。
最後に、デックをカットして混ぜた中から、マジシャンは華麗に4 枚のエースを取り出してみせます!

:[[ノンテレフォン・テレフォントリック]]([[Nick Conticello]]/[[ゆうきとも]])|デックを4つの山に分けてもらい、1つを選んで持ってもらいます。
その中から自由に1枚のカードを選んでから、中に混ぜてもらいます。
そして、「花占い」のように「好き・嫌い…」とカードを1枚ずつ減らして絞っていくと、最後に残った1枚が見事、観客のカードなのです!
***特集:観客の自由選択をコントロール?  [#j843e21c]

:[[アルティメット・リップオフ]]([[Paul Harris]]/[[Tommy Wonder]])|上記作品の原案となる作品です。 
:[[イン・ベター・オーダー]]([[J. K. Hartman]])|10 数枚のカードの中から、2 枚のカードを裏向きに観客の前に置き、残りを、表を見せずに「ある順番」に並べます。
2 枚のカードを、観客の意思で好きなところ2 ヶ所に差し込んでもらいます。
表を見せると、奇妙なことに、A 〜 K のカードが順番通り並んでいるのです!

:[[ア・スインドル・オブ・ソーツ]]([[Paul Curry]])|好きなマークの13 枚を抜き出して、A 〜 K の順に並べます。
マジシャンは「予言」として、観客に見せないように、2 ヶ所で隣同士のカードをあらかじめ入れ替えておきます。
その後、裏向きで1 枚ずつ配っていき、観客に好きな場所で2 回ストップと言ってもらって、それぞれの場所で、隣り合わせのカードの順を逆にして配ります。
表を確認してみると、なんと、マジシャンの予想通りの場所で観客がストップをかけたために、A 〜 K の全てのカードが順番通りに整列しています!

:[[フェアトレード(パケットバージョン)]]([[ゆうきとも]])|青裏の4 枚を観客が、赤裏の4 枚を演者が持ち、よく混ぜます。
適当な場所でカットして、一番上にきたカードをお互いに交換して中に入れます。
交換したカードを見ると、ともにスペードのクイーンで一致しています。
観客は残りの3 枚を疑いますが、表向きにすると、全て表が真っ白なカードになっているのです! 
 
:[[リップ・イット]]([[Jack Chanin]])|マジシャンは、「紙幣の紙は強いので、四つ折りにすれば、そう簡単には破れない」という話をしているうちに、うっかり破ってしまいます!
紙幣に穴が開いてしまったことを確かに示した後、マジシャンは、一瞬で元通りに復元させてみせます!
:[[ESPカード&ポーカーチップ]]([[ゆうきとも]])|ESP デックから16 枚のカードを4 × 4 のマトリックス状に並べます。
残り9 枚からまず1 枚選んでもらい、ポーカーチップを乗せておきます。
16 枚のマトリックスからも、観客の選択により4 枚のカードが選び出され、上に1 枚ずつポーカーチップが置かれます。
ポーカーチップを裏返すと、異なる5 種類のESP マークがそれぞれ描かれており、それが、その下にあるESP カードのマークと全て完全に一致します!

***特集:破いても再生する魔法! [#ic02e227]
***特集:手順化されたコインズアクロス! [#ic02e227]

:[[トーン&リストアド・カード]]([[J.C. Wagner]])|1 枚のカードを自由に選んでもらい、演者と観客のサインを書き込みます。
そのカードを、目の前でゆっくりと4 片に破り分けてしまいます。
ところが、1 片を観客に渡し、残りの3片をマジシャンの手の中で揉み合わせると、破片は見事に繋がってしまいます!
観客の片を合わせてみますが、破れ目はピタリと一致しています。
:[[スリーフライ/ウィングド・シルバー]]([[Chris Kenner]]/[[R. Paul Wilson]]/[[ゆうきとも]])|ファンに広げて指先に持った3枚の銀貨が、1枚ずつ、反対の手の指先に移動していきます!
実は銀貨はテーブルの端に置いておいた銅貨に引き寄せられていたのだと説明し、銅貨を反対の手に握ると、銀貨は1 枚ずつそちらの手に戻っていき、最後の1枚は、観客の手の中に移動してしまいます!

***特集:トークレクチャー [#a7201a49]

:[[復活現象の前提となる演出について]]|
:[[同一テーマのマジックを被せる演出について]]|

**この号で収録されている技法・用語 [#c5530beb]

[[JRoy Walton]]、[[Phil Goldstein]]、[[Nick Conticello]]、[[J.C. Wagner]]、[[Jack Chanin]]、[[Paul Harris]]、[[Tommy Wonder]]
[[エッジグリップ]]
[[Bert Allerton]]、[[J.K. Hartman]]、[[Paul Curry]]、[[Chris Kenner]]、[[R. Paul Wilson]]
[[フレンチポップ]]、[[スクープ・アドアンダー]]


トップ   一覧 単語検索 最終更新   ヘルプ   最終更新のRSS